ジョーシスサイバー地経学研究所(JCGR)
ジョーシスサイバー地経学研究所(JCGR)が「サイバー地経学」の視点から発信するポッドキャスト。サイバーセキュリティ、地政学、経済・マーケット、各国事情に精通した専門家をゲストに招いた対談や、JCGRによる独自研究の解説を配信しています。毎月、第2・第4金曜日の朝に配信。
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「AI疲れ」は本格普及のサイン、「AIエージェント」と共生する未来の組織像【佐賀文宣 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ日本社長(前編)】
Use Left/Right to seek, Home/End to jump to start or end. Hold shift to jump forward or backward.
毎週のように新しいツールやモデルが発表される現在のAIシーン。何を使えば正解なのか、ツールが多すぎて追いつけない。そんな「AI疲れ(AI Fatigue)」を感じている方も多いのではないでしょうか。
今回のゲストは、チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ日本法人社長の佐賀文宣さん。佐賀さんは、現在の混乱を「AIの限界」ではなく、AIが単なるツールから「企業の競争力を左右するインフラ」へと変貌する、本格的な普及期の入り口であると指摘します。
前編では、主要なAIプレイヤーの特性整理から、今まさに起きている「AIエージェント」への進化、そしてAIを「デジタル社員」としてどうマネジメントすべきか、その本質的な向き合い方を深掘りします。
■□ ハイライト □■
「AI疲れ」の正体は、仕事の仕組みが変わる「混乱」
現在の状況は、特定の課題を解くだけだった過去のAIブームとは異なります。AIがアプリケーションとして人間のワークフローに自律的に入り込み始めたことで、既存の仕事の仕組みが根底から揺らいでいることへの戸惑いが「疲れ」として表れているのです。
主要AIプレイヤーが構築する「インフラ化」の波
単なるモデルの性能比較ではなく、APIを通じて広がるOpenAIのエコシステム、検索やGmailと統合されたGoogleのGemini、長文読解と安全性に長けたAnthropicのClaude。AIが「選んで使うもの」から、ビジネスを支える「基盤」へと変わりつつある現状を整理します。
ツールから「AIエージェント(デジタル社員)」へ
目標を与えれば自ら計画を立て、実行し、評価まで行う「AIエージェント」の登場。それはもはや単なる道具ではなく、専門性を持ったチームや「デジタルなインターン」に近い存在です。1つのスーパーAIではなく、小さなエージェントを組み合わせて組織化する未来像を語ります。
「堂々と間違えるインターン」をどう管理するか
AIはハルシネーション(もっともらしい嘘)をつくことがあります。優秀に見えても、時には現場の機微を理解せず間違える。この「自律的に動くがミスもする」存在をブラックボックス化させず、可視化し、ガバナンスしていくことが経営の鍵となります。
<ゲスト・プロフィール>
佐賀 文宣(さが・ふみのり)さん
チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社 日本法人代表取締役社長
チェック・ポイント日本法人の拡大を主導し、顧客およびパートナーとの継続的な信頼の上、チェック・ポイントの戦略的方向性である「You Deserve the Best Security(お客様である企業や組織に最高のセキュリティを構築する)」の実現をミッションとする。
直近では、ZVC Japan 株式会社 (Zoom Video Communications, Inc.の日本法人)にて、社長を務めビジネスを大きく成長させた。ZVC Japan入社前は、2013年からヴイエムウェア株式会社でパートナービジネスを統括。2006年から2013年にかけては、シスコシステムズ合同会社にて、同社が買収したWebexのパートナー開拓に携わる。1992年に日本アイ・ビー・エム株式会社へ入社し、大和研究所にてThinkPadの開発部門に配属。1992年北海道大学工学部修士課程を修了。
■□ 収録後記 □■
佐賀さんのお話の中で非常に分かりやすかったのが、AIを「堂々と間違えるインターン」と例えた視点です。
期待しすぎるのでもなく、分からないからと禁止するのでもなく、その「思考プロセス(入り口と出口)」を見える化してマネジメントする。この姿勢は、従来のIT管理の枠を超えて、まさに「新しい時代の組織づくり」そのものであると感じました。
後半(4月10日公開予定)では、このAIエージェントが普及した世界で「ソフトウェアのビジネスモデル」や「セキュリティの境界線」がどう激変していくのか、さらに一歩踏み込んだ未来図を伺います。お楽しみに!
(JCGR編集部)