ジョーシスサイバー地経学研究所(JCGR)

API接続が変えるソフトウェアの未来。AIエージェントの行動を可視化し、企業の競争力を守り抜く【佐賀文宣 チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ日本社長(後半)】

ジョーシスサイバー地経学研究所 Season 1 Episode 28

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前回(前半)は、AIが単なるツールから自律的な「デジタル社員(AIエージェント)」へと進化するパラダイムシフトについて伺いました。

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後半となる今回は、AIエージェントが普及した「その先の未来」を予見します。人間が画面を操作するUI(ユーザーインターフェース)から、AIが直接ソフトウェアを操作するAPI主体の時代へ 。これに伴い、従来のユーザー単位の課金モデルから、タスクの処理量や生み出した価値に基づく「成果ベース」へとビジネスモデルが進化していく可能性について深掘りします 。

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ日本法人社長の佐賀文宣さんが、AI時代の新たなインフラの姿と、人間に見えないサイバー攻撃から組織を守り抜くための経営戦略を語ります。

■□ ハイライト □■

UI(画面)からAPIへ:ソフトウェアの役割が「機能」へ進化する:  人間が画面を介さず、AIエージェントがAPIを通じてソフトウェアを直接操作する世界が到来しています。これにより、ライセンス形態も従来の「社員数単位」から、エージェントの数や処理単位(トランザクション)に応じたモデルへと変化し始めています。

「間接的プロンプトインジェクション」という新たな脅威: メールの中に人間には普通の文章に見える「AIへの命令文」を埋め込む、人間に見えない攻撃手法が登場しています。AIを騙して情報を流出させたり、不正なメールをばらまかせたりするリスクに対し、動作を検知して止める「ガードレール」の重要性が高まっています。

サイバー攻撃の「工業化」とサプライチェーンの自分事化:  AIによって攻撃が自動化・大規模化(工業化)され、企業規模や知名度に関係なく無差別に弱点が狙われる時代です。ティアの深いサプライチェーンの一角が狙われるだけで全稼働が止まるリスクを、すべての経営者が自分事として捉える必要があります。

AIを「正しく可視化する力」が企業の競争力になる: どのAIがどのようなデータにアクセスし、何を判断しているのか。これを見えないまま使うことは大きなリスクを伴います。AIの挙動を可視化し、管理できる状態にしておくことこそが、これからの企業のAI戦略における核心です。

「禁止」ではなく「使いこなしながら守る」経営視点 : AIの使用を禁止しても、従業員は個人IDで「野良AI」を使い続けてしまいます 。経営者に求められるのは、AIが万能ではないことを理解した上で、いかに可視化・管理し、活用と防衛を両立させるかという視点です。

<ゲスト・プロフィール>

佐賀 文宣(さが・ふみのり)さん

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ株式会社 日本法人代表取締役社長

チェック・ポイント日本法人の拡大を主導し、顧客およびパートナーとの継続的な信頼の上、チェック・ポイントの戦略的方向性である「You Deserve the Best Security(お客様である企業や組織に最高のセキュリティを構築する)」の実現をミッションとする。直近では、ZVC Japan 株式会社 (Zoom Video Communications, Inc.の日本法人)にて、社長を務めビジネスを大きく成長させた。ZVC Japan入社前は、2013年からヴイエムウェア株式会社でパートナービジネスを統括。2006年から2013年にかけては、シスコシステムズ合同会社にて、同社が買収したWebexのパートナー開拓に携わる。1992年に日本アイ・ビー・エム株式会社へ入社し、大和研究所にてThinkPadの開発部門に配属。1992年北海道大学工学部修士課程を修了。

■□ 収録後記 □■
佐賀さんのお話を通じて、AIを「導入するかどうか」という段階は終わり、いかに「高い透明性を持って使いこなすか」というフェーズに入ったことを痛感しました 。特に、AI同士が連携することで組織の境界が曖昧になるという指摘は、従来のIT管理の常識を大きくアップデートするものです 。

攻撃が「工業化」される厳しい現実があるからこそ、AIの行動を可視化し、リスクをコントロールする技術が企業の真の武器になります 。「AIは間違えることもある」という前提に立ち、それを見守りながら活用する。この誠実な管理の姿勢が、AI時代の勝者を分けるのだと感じました。

(JCGR編集部)