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スピリチュアルな 本棚 # 28『Part 3 人生の危機(中年の危機)にどう立ち向かうか?』

飛利浦 Phillip

みなさん、こんにちは。今週はいかがお過ごしでしたか?

今日も、アーサー・C・ブルックスの素晴らしい本『From Strength to Strength』から、人生を再スタートさせて、もっと深い喜びと意味のある生き方について、一緒に考えていきましょう。

 

7.心の目覚め ― スピリチュアルな自分に気づく

人生の前半は、どうしても「成功したい」とか「もっと評価されたい」っていう気持ちでいっぱいですよね。それが悪いわけじゃないけど、年齢を重ねるにつれて、そういう外側から得る幸せは、だんだんと色あせていくんです。

 

科学的にも、「幸せ」には2種類あると言われています。ひとつは「快楽」——一時的な満足感。そしてもうひとつは「喜び」——これはもっと長く続いて、意味や目的、人とのつながりから生まれるものなんです。

人生には、だいたいこんな3つのステージがあります:

1) 学びの時期:若い頃。勉強や経験を通して、自分を育てる時期。

2) 達成の時期:仕事を頑張ったり、お金を稼いだり、家庭を持ったりする時期。でも、ここにハマりすぎると、「もっと、もっと」ってなって、終わりが見えなくなっちゃうんです。

3) スピリチュアルの時期:心の奥で「本当に大切なことって何だろう?」って考え始める時期です。

この第3の時期に入ると、今まで気づかなかったことに目が向くようになります。でも、今までスピリチュアルな面を無視してきた人は、ここで戸惑うことも多いんです。

でも、安心してください。研究では、信仰や精神的な支えがある人の方が、年を重ねたときに、落ち込みにくくて、前向きに人生を受け止められる傾向があるそうです。

正直、私たちの頭の中って、いつも「自分、自分、自分」って感じですよね。まるで、同じドラマをずーっと見てるみたい。でも、信仰やスピリチュアルな視点を持つことで、視野がグッと広がるんです。

 

「本当の私は誰?」「人の役に立つには、どうしたらいい?」「この人生に、どんな意味があるんだろう?」

こんなふうに考えられるようになると、心がすごく軽くなるんです。

大事なのは、「自分はこういう人間だから」って決めつけないこと。「変われるかもしれない」って思えたときに、新しい人生が始まるんです。

著者自身も、昔は名誉や地位を求めて必死だったそうです。でも、スピリチュアルな探求を始めてから、本当の平安を見つけたと言っています。ハーバード大学を辞める決断をしたとき、信頼している友人に言われたそうです。「それは逃げじゃない。もっと深いものに引き寄せられているんだよ」って。

その言葉に背中を押されて、自分の心の声に従うことができたそうです。

彼は「マインドフル・ウォーキング」、つまり、呼吸や足音、自然の音に意識を向けながらゆっくり歩く習慣も始めました。ただ「生きている」ということに感謝できるようになったんです。

 

8.弱さを強さに変える

本当に意味のある人生って、成功よりも「痛み」や「喪失」から生まれることが多いんです。特に頑張り屋さんほど、弱さを見せるのが苦手。でも、人生の後半になると、逆に「弱さ」こそが人と人を深くつなげてくれるんです。

著者が講演をしたとき、ある人が「一番心に響いたのは、あなたの不安や自己疑いについて話してくれた部分でした」と声をかけてくれたそうです。

その瞬間、「ああ、正直になることが、人と人の本当のつながりを生むんだな」と気づいたそうです。

たしかに、辛いことからは逃げたくなります。でも、人生を振り返ると、自分が本当に成長できたのは、痛みや失敗からだったりしますよね。

あるおじいさんは、「一番多くを学んだ年は、妻が亡くなった年だった」と言ったそうです。とても辛かったけど、本当に大切なものが見えてきたと語っています。

人生って、思い通りにいかないことばかり。でも、自分の「反応の仕方」は選べます。すべてをコントロールするんじゃなくて、「そのままを受け入れる力」こそが、本当の強さなんです。

認知症になった有名な教授の話も紹介されています。何もかも忘れてしまっても、愛し方は忘れなかったんです。生徒たちは「私は彼の全盛期のようになりたいんじゃない。今の彼のように、優しくて穏やかな人になりたい」と言ったそうです。

それが、本当の「勝利」——心の勝利ですよね。

人生の前半は、「認められたい」という気持ちでいっぱい。でも、後半ではようやくそれを手放せる。自分の価値を証明しなくても、「そのままの自分で価値がある」と思えたとき、本当の自由が訪れます。

拍手も、注目もいらない。ただ、心から「自分らしく」生きていれば、それだけでいい。著者はそう語っています。

成功の定義を変えましょう。「もっと強くなること」じゃなくて、「もっと優しくなること」、「もっと本音で生きること」が、これからの人生のテーマなんです。

ベートーベンは、最後の10年、完全に耳が聞こえなくなりました。それでも、彼の最も偉大な作品は、その時期に生まれたんです。振動や記憶を通して、新しい「聴き方」を見つけたからこそ、世界を変える音楽を作ることができたんですね。

 

9.「物は使い、人は愛し、神を敬う」人生を

人生を変えるのは、大きな危機だけとは限りません。「新しい何かに挑戦してみたい」という、冒険心から始まることもあるんです。潮が引いたときに、海の底が見えて魚が捕れるように、忙しさや成功の波が引いたときこそ、「本当に大切なもの」が見えてくるんです。たとえ今、人生が下り坂に感じられても、あきらめないでください。今こそ、新しい種をまくチャンスなんです。この時期を、人生で一番豊かで意味のあるシーズンにすることも、十分可能なんです。

著者は、人生を再スタートさせるために、大事な4つのステップを提案しています:

1) 成功の定義を変える:成果より「意味」を大切にする

2)一時的な快楽ではなく、持続する幸せを目指す

3)与える生き方をする:「何を残すか」を意識する

4)愛と信仰を持つ:永遠の価値を見つける

――今日のお話は、ここまでです。

もし今、あなたが人生の後半に入っているなら、あるいはこれからその時期を迎えるなら、今日のお話が少しでもヒントや希望になれば嬉しいです。

人生は、ただ登り続けるだけじゃありません。もっと深く、もっと優しく、そして意味のある生き方へ。

それではまた次回、お会いしましょう。どうぞお元気で。