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お知らせです!最近仕事がとても忙しいため、第53話からはドイツ語版と日本語版の更新をしばらくお休みさせていただきます。ご不便をおかけしてしまい、本当にすみません。今後ともよろしくお願いいたします。
Kurze Info! Da ich zurzeit beruflich sehr eingespannt bin, werden die deutschen und japanischen Versionen ab Folge 53 vorübergehend pausieren. Es tut mir leid für die Umstände und vielen Dank für euer Verständnis!
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スピリチュアルな 本棚 # 48 : 賢いお金の使い方 パート 15
こんにちは、みなさん。今週はいかがお過ごしでしょうか?
今日は、ウォーレン・バフェットの生涯のパートナーとして有名な、チャーリー・マンガーについてお話ししたいと思います。
マンガーはよく「人間の意思決定や成功には心理学が欠かせない」と言っていました。彼の有名な言葉にこんなものがあります。
「心理学を理解していない人間は、盲人の国の片目の男のようなものだ。」
どういう意味でしょうか?
マンガーの考えでは、心理学を学ぶことで人間の行動を動かしている本当の力を知ることができます。そして、自分自身の偏見や思い込みに気づき、防ぐこともできます。さらに、心理学は学問を横断して知識をつなげてくれる。そして最終的には、もっと合理的で長期的な判断ができるようになるのです。
今日はその中から、『Poor Charlie’s Almanack』の第11講義を取り上げます。ここではマンガーが「人間の誤った判断を生む25の原因」について語っています。
マンガーがハーバードを卒業して弁護士として働き始めた頃、彼はすでに進化論を知っていました。人間も動物も、進化の過程で多くの共通点を持っている。人間は社会的な動物であり、互いに観察し、真似をし、上下関係を作り、権威には従い、同等の仲間とは協力し、自分より下だと感じる相手には競争心や不信感を抱く。
しかし、マンガーはすぐに気づきます。「進化論だけでは人間の複雑な行動を説明できない」と。現実世界では、人の行動は予測不能なほど不思議で、その理由を理解するために、もっと強力な理論や実用的な道具が必要だと感じたのです。
彼が学んだ大きな教訓のひとつは、心理学の教科書は「心理的傾向どうしの相互作用」をあまり説明していないということ。単独の傾向だけではなく、複数の傾向が組み合わさったときに、思いがけない複雑な結果が生まれるのです。
自然界の例で説明しましょう。アリの行動は遺伝子にプログラムされています。例えば「死んだアリの匂い」を嗅ぐと、そのアリを巣の外に運び出す。科学者がその匂いを生きているアリにつけると、仲間たちはそのアリを本当に死体のように扱って外へ運び出してしまいました。脳が小さいため、行動は機械的なんですね。
人間はもっと大きな脳を持っていますが、それでも「単純なプログラム」に騙されやすい。幻覚や錯覚、うまく仕組まれたシステムに引っかかってしまう。
マンガーがよく挙げた例が、1983年にデビッド・カッパーフィールドがやった「自由の女神消失マジック」です。観客は気づかないほどゆっくり回転する台に座っていたのです。ライトや音楽の効果も加わって、まるで本当に自由の女神が消えたように見えた。これは心理学でいう「気づかれないほど少しずつの変化」の典型です。
また、コントラストがいかに人間を騙すかを示す実験もあります。片手を熱いお湯に、もう片方を冷たい水に入れ、その後ぬるま湯に両手を入れると、左右の手で全く違う感覚を得る。つまり、私たちの知覚や判断は絶対的ではなく、相対的なのです。この性質を利用して、マジシャンや営業マン、そして人生そのものが私たちをよく惑わすのです。
ここから、マンガーの「25のバイアス」の最初の二つを紹介します。
1つ目:報酬と罰への過剰反応バイアス
「インセンティブの力」を私たちは軽く見がちです。
例えばフェデックス。昔、夜勤のスタッフが荷物を時間通り積み込まない問題がありました。会社は説得や励ましを試みましたが効果なし。原因は「時給制」にあったのです。ゆっくり仕事をしても給料は同じ。そこで「シフト制」に変えました。つまり、仕事が終われば帰れる仕組みです。すると一気に効率が上がったのです。
ゼロックスの例も有名です。営業マンが旧型のコピー機を売ったほうが高い歩合をもらえた時期がありました。当然、新型は売れず、旧型ばかり売れる。インセンティブを間違えると、結果も間違うわけです。
お金だけではありません。地位、友情、恋愛、承認…さまざまな「報酬」が人を動かします。マンガーは「おばあちゃんのルール」を勧めています。「野菜を食べるまでデザートはダメ」。ビジネスなら「大事で難しいことを先に終わらせ、あとでご褒美を楽しむ」という習慣です。これが規律を生み、良い循環を作り、組織を強くするのです。
2つ目:好意・愛情バイアス
私たちは「好き」「尊敬する」という気持ちに大きく影響されます。
ガチョウのヒナは、生まれて最初に見た動くものを母親だと思ってついていきます。人間の赤ちゃんも、世話してくれる人を自然と愛します。大人になっても、私たちは誰かに好かれたいし、尊敬されたい。
でもここに落とし穴があります。誰かを好きになると、その人の欠点を無視したり、都合のいいように解釈したりしてしまう。時には自分に不利益があっても忠誠を続けてしまう。
マンガーは、バフェットの叔父フレッドの話をよくしていました。彼は毎日楽しそうに店で働いていて、その姿はマンガーやバフェットに一生の影響を与えた。人は、愛し尊敬する相手から強く学ぶのです。だからこそ、教育の現場など、社会の大事な場所には「尊敬できる人」を置くことが大切だとマンガーは言います。
さて、今日のお話はここまでです。
心理学や意思決定、そしてチャーリー・マンガーの知恵について、少しでも学びを得てもらえたら嬉しいです。
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それでは、みなさんがお金と人生をうまく管理して、もっと豊かで幸せに生きられますように。
また次回お会いしましょう。